MEISTER

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営業とは、
地域の町医者である

株式会社とみや 永岡竜海

「人間力」が試される場所

───永岡さんは2021年の入社以来、営業部で活躍されています。営業という仕事について、どのようにお考えですか?

営業は「人間力」が試される場だと考えています。お客様のやりたいことをいかに汲み取り、自ら提案するか。最終的には細かい指示は抜きで、丸投げされるようになったら成功だと思います。

───前職も営業職だったそうですね。

はい。建設会社での住宅営業でした。とみやが扱うような形のある商品ではなく、まだ存在しない「住宅」を売る仕事だったので、同じ営業職でも意識するポイントはだいぶ違いましたね。

───前職からの転職を決意したきっかけはなんですか?

新築住宅の販売、モデルハウスの案内、積算関係など、住宅営業の仕事にはやりがいを感じていました。ですが地元に戻りたいという気持ちが次第に強くなり、親からも「今の仕事はもういいんじゃないか」と言われたこともあって、鹿屋に帰ることにしたんです。

───とみやで働くことになったきっかけは?

父親の知人がとみやに勤めていると聞いており、お店の存在はもともと知っていました。最初は事務職としてひっそりと働くことを希望していたんですが、会社の人事の関係で、再び営業の道に戻ることになったんです。

養鰻業から見えてくる、営業の責任

───現在の担当エリアと、日々の業務について教えてください。

大崎・志布志方面の営業担当として、メーカーや取引先の元を駆け回っています。商品配送では、店舗と現場を一日で5〜6往復することもあります。日々の注文電話を受けて、その日のうちにできることはどんどんやっていきます。効率的にスケジュールを組み立てることを意識していますね。

───とみやのスタッフには建築・土木・農業・水産業などさまざまな業種のプロがいらっしゃいます。永岡さんの得意分野は何でしょうか?

建築・土木系はほぼ全員のスタッフが対応できるのですが、私は特に養鰻業(ようまんぎょう)の方々と関わることが多いですかね。

───詳しく教えていただけますか?

養鰻業は、少しのミスが一発で廃業につながる、非常にシビアな業種なんです。うなぎは繊細な生き物で、一度停電してシステムが作動できなくなるだけで、数億円の損失が出ることもあります。私たちも依頼を受けたときは、特に気を引き締めて臨みますね。

───「プロの仕事」に関わる責任を、改めて実感しますね。

夕方に「明日新しい発電機を導入するんだけど、部材が足りない」と連絡があった時は、鹿児島市内の業者に連絡して在庫を確認し、夜中まで車を走らせて受け取りに行き、翌朝に現場へ届けに行ったこともあります。大変なこともありますが、やっぱり取引先の業者さんに満足いただく仕事をするのが一番です。

相手の希望に応え続けるために

───営業において特に大事にされていることはありますか?

「相手の希望に応える姿勢」です。養鰻場に伺うときは、仕事をお手伝いすることもあります。現場で一緒に作業をしながら親方や従業員さんとお話しすることで、作業の流れを肌で感じることができますし、より深い信頼関係を築くことができます。お客様に「後悔させない提案」をするには、まず自分自身がその業界のことを知らなきゃ始まらないですから。

───まさにとみやさんが大切にしている「プロ意識」ですね。店舗での接客についてはいかがですか?

お店を訪れる職人さんや、一般のお客様ともコミュニケーションを取ることを心がけています。基本的には安い製品で十分なことも多いのですが、お客様の状況を聞いてご希望に沿う提案をしようとすると、どうしても少し高い商品を勧めなければならないこともあります。お客様にしっかり説明したうえでご購入いただき、「あの商品、ちょっと高かったけど最高だよ!」と言ってもらえたときは、やっぱりやりがいを感じますね。

───プロの方もアマチュアの方も、まずは店舗へ足を運んでみてほしいですね。

営業は、地域における「町医者」のような存在だと思います。お医者さんは、患者の訴える症状や苦しみに耳を傾けて、治療や薬を提供しますよね。それと同じように、営業はお客様の声を真摯に聞きとり、抱えている課題に一緒に向き合って、最適な商品・サービスを提案します。そんなふうに元気になったお客様の活動が、地域の新たな一歩につながっていけばいいなと思います。

故郷・鹿屋とこれからのビジョン

───永岡さんの地元であり、とみやの店舗がある鹿屋市について、どのように感じていらっしゃいますか?

子どものころは遊ぶ場所が少ないのが不満でしたが、帰ってきた今では「鹿屋って住みやすい地域だな〜」と実感しています。現在私が暮らしている串良町には伝統行事が残っていて、運動会や十五夜のすもう大会があったり、まちを歩いているとおじいちゃん・おばあちゃんが挨拶してくれたり、人間的なあたたかみに溢れています。

鹿屋は畜産業が盛んで、道を歩いていると強烈な匂いが鼻を衝くことがあります。高校卒業後は海上自衛隊に入隊して、単年地元を離れていたのですが、久しぶりに地元に帰ってきたときに、家畜の匂いに迎えられたんです。いつもは快く思えないようなことですが、「鹿屋に帰ってきた。厳しい訓練から解放された」という実感が湧き出して、そのときは思わず涙が込み上げてきましたね。

───畜産のまち、鹿屋らしいエピソードですね。

志布志・垂水などの漁港が近いこともあり、カンパチ・ブリなど魚介類も美味しいです。
個人的に、鹿屋は隠れた「焼肉激戦区」だと思っていまして、こだわりのある個人店がたくさんあるんですよ。ぜひお気に入りのお店を開拓してみてほしいです。

───最後に、とみやの今後についてお聞かせください。

とみやは、鹿屋になくてはならない企業だと思います。

人口が減って新築需要が減少している昨今、メインとなっている建築・土木関係だけでなく、新たな業種を開拓していくことで地域に貢献していかなくてはならないと思います。取り扱いできる商品の幅広さが、とみやの強みですから。

メーカーさん企業とそれを求めている人を繋ぐプラットフォーム的な存在としても、とみやには大きな可能性があると思います。営業という仕事の中で、新たな可能性を切り開いていきたいです。

───全国的に人口減少が進んでいるからこそ、「地域に根差した企業」の底力が問われる時代ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

Profile

永岡竜海(ながおか・たつみ)

2021年よりとみやの営業部に所属。大崎・志布志をメインに担当。鹿児島市生まれで、鹿屋の串良町育ち。鹿児島実業高校ではラグビー部に所属し、全国大会出場を果たす。海上自衛隊鹿屋航空基地、建設会社の住宅営業を経て、とみやに入社。得意分野は建築・土木・養鰻。趣味は空手と自然散策。

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「モノ」の時代から
「風の時代」へ

家づくり・土木作業のプロとして地域の暮らしに向き合い、鹿屋のまちづくり・活性化にもさまざまな想いをお持ちの上之段勝雄(うえのだん・かつお)さん。とみやと共に歩んできた歴史や、地域の課題解決として取り組む空き家の活用、そしてこれからの地域コミュニティづくりについてお話を伺いました。

株式会社上之段建設 上之段勝雄さん
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地元企業を支える、
商社の力とは?

産業用資材の専門商社として、多岐にわたる分野の商品ラインナップを誇る「株式会社シバタ」。鹿児島営業所で営業課長を務める田尻紘介さんは、「とみやは地域のニーズに応え続けている実力派小売店」と評します。パティシエから転身して17年、とみやとの取引を通じて感じた魅力と今後の展望について語っていただきました。

株式会社シバタ 田尻紘介さん
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